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昭和の名作住宅を見学 吉村順三設計自由が丘の家(園田邸)

昭和の名作住宅を見学 吉村順三設計自由が丘の家(園田邸)_b0274159_118564.jpg自由が丘にある園田邸は、見学会やコンサートで過去に2,3度訪れたことがあります。今回は自由が丘のガレリア・アビターレでやっている「昭和の名作住宅に暮らす」展企画の見学会でした。


玄関から階段をトン、トンと2段下りて居間に入るのですが、心地よい暗さがあり、気持ちがすぐに落ち着きます。施主である園田さんは国際的なピアニストなので、グランドピアノが77㎡の住宅の中に2台、という条件がまずあったそうですが、ピアノが置いていない現在でもなにか音楽が流れているかのような、軽やかで、サロン的な雰囲気を感じさせる空間です。


そう感じる理由を自分なりに考えてみました。


ひとつは、狭い家の中でピアノの練習場を成り立たせるために、ピアノから食堂や水周りなど、生活感を感じさせる箇所が見えないように配置されていること。居間は入って手前側にピアノが置いてあり、奥に暖炉とコンパクトなソファコーナーがありますが、暖炉周りもコンクリートのシャープな壁がとてもモダンで、空間を引き締めています。(ちなみに、このソファ周りはcosyという言葉の意味を形にしたようなコーナーで、大好きな空間!)


このストイックな配置はシンプルでいて、他にどう考えても代替案が見つからない所まで考え抜かれたものであると感じます。


もうひとつは、窓の取り方が緻密に計算されていて、その配置が絶妙であること。外を見る場合は窓、障子すべて戸袋にしまって開放的に、光を落とす場合には最適な位置に。そして部屋として見た時も開口部がリズミカルに配置されていること。一つ一つの開口部に設計者の意図を感じます。吉村さんは茶室の実測もかなりされていたそうですが、その影響ももしかしたらあるのかも、と思いました。


現在は増築されているのでなくなった部分ですが、ピアノの背後にある縦長の窓から障子を通してやわらかい光が差し込む様は、とても絵画的な光景だったのではないかと想像してしまいます。


つたない感想を書きましたが、行くたびに新しい発見のある場所です。現在、保存の問題で住みついで下さる方を探しているそうですが、出来れば移転することなく、同じ場所に建ち続けることを切に願います。



※展覧会「昭和の名作住宅に暮らす」 10月21日まで
http://www.aij.or.jp/jpn/databox/tadantai/120810.pdf

by atelier-tsubaki | 2012-10-14 01:12 | 建物探索

『マッピー』用ボーダー

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