森林資源と森林保全│日本の事情、世界の事情

前回の記事に関連して、日本の林業や、日本の木を使うメリットについてもう少し考えてみようと思います。


海外の森林事情


現在、世界の森林では、過剰な伐採が問題になっています。アマゾンやアジアの熱帯雨林で木が伐採されている写真を見るたびに、心を痛めている方も多いのではないでしょうか。
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例えばスマトラ島では、過去25年間で減少が著しく、低地の熱帯林は今のまま伐採が進んだ場合近い将来に消滅する、と予想されています。

スマトラ島の熱帯林の減少 WWFの活動
http://www.wwf.or.jp/activities/2009/09/699714.html
さまざまな木材の需要に応えるための森林伐採。そして、ヤシ油を採るためのアブラヤシや、紙パルプの原料となるアカシアなどの植林(プランテーション)拡大によって、スマトラ島の森林は大きな被害を被っています。
かつて、ほぼ全域が森林に覆われていましたが、1985年までに約40%が、それに続く23年の間に、残った森林の約半分が消失してしまいました。森林消失は加速しており、2008年現在では1,280万ヘクタール(日本の面積の約1/3)にまで減少しています。

経済的な効率を優先するためにおこった過剰な伐採は、森林を破壊し、野生動物や植物、人々の暮らしに影響を及ぼし、気候変動の原因にもなりかねません。


日本の森林事情


このように、木の伐採は環境を破壊するイメージがあります。ところが日本の場合、逆に木を切らないことが問題になっています。

というのは日本の森林は4割が人工林、5割が自然林、残りが竹林などで占められいますが、人工林は人の手によって育てられているいわば「木の畑」です。この人工林では戦後植えられた木が収穫期を迎えていますが、これを伐採して新しい苗木を植えないと、次の世代に森林資源を残すことが難しくなります。言い換えれば、持続可能な資源のサイクルが、木を使わないことで崩れてしまうのです

ところが、日本の森林資源は他国と比べて使われていない、というデータがあります。次のデータは、各国の森林蓄積(森林資源)とその伐採率です。

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※出典:OECD加盟国の森林蓄積量に対する年間伐採量の比率/「なぜ、いま木の建築なのか(学芸出版社)」有馬孝禮 著

日本は自国には豊富な森林資源があるのに、他国の自然環境を破壊する、と外国からは見えてしまうかもしれません。

参考 日本の森林面積と森林蓄積の推移
森林・林業学習館HPより


日本の森林面積は国土の66%です。ちなみに、世界の森林面積は平均30%程度。日本の森林率は世界平均を大きく上回っており、日本は世界有数の森林国と言われています。

また、日本の風土は木の生育に適しているので、木が早く育ちます。ドイツなどでは、木が育つのに日本の3倍の時間がかかるそうです。

こんなに森林資源が豊富なのに、日本の木材自給率は3割弱に留まっています。安い輸入材が大量に流通し、国産材は材木の値段が低すぎて採算がとれず、林業経営が成り立たなくなっている所もあります。


まとめ

■日本の木を使うことは、次世代に森林資源を引き継ぐことに通じます。現在は戦後植えられた木を材木として活かすべき時です。

■世界の森林の保全のため、木材自給率を上げて他国の材木の輸入量を減らすことが必要です。

■高齢な木よりも若い木の方が成長が盛んなため、温室効果ガスのCO2をより多く吸収します。地球温暖化防止のためにも森林の世代交代が望まれます。
(11.27追記 関連記事 森林のCO2吸収量│樹齢による変化について


そもそも、日本の山で木材が余ってしまったのは、戦後の木材需要の高まりで山を切り開いて植林することを奨励した政策が、需要が落ち込んでからもずっと続いていたせいだとも言えるのですが・・。

この状況を改善すべく取り組みも始まっています。

林野庁 木づかい運動
http://www.rinya.maff.go.jp/j/kidukai/top.html
国産材使って減らそうCO2のスローガンのもと、地域材を用いた公共施設整備の推進や、間伐材の利用促進などすすめています。

その他、地域材を活用した住宅の補助などもあります。
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by atelier-tsubaki | 2012-11-17 02:45 | 建物の性能・エコ・環境

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