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健康になる要因を探る 健康生成論│Bau会議 in 軽井沢 その2

昨日の続きです。先月参加してきたバウビオロギー研修会の内容より学んだこと、考えたことについて書いています。


健康生成論について

建築関係の集まりですが、お医者さんのお話です。建物と健康な暮らしの関係を探る、バウビオロギー的な視点からの講演になります。


お話をしてくださった浦尾 弥須子先生は頭頚部外科を専門とした耳鼻咽喉科のお医者さんですが、人間を身体だけでなく精神的なものとみる医学(アントロポゾフィー医学)を学ぶためにドイツに留学していた方です。病院でガン患者さんなどを診ていくなかで、当時の唯物的な医学に疑問を持ったのがそういうものに興味を持つきっかけだそうです。

鍼灸や漢方などの東洋医学にも近い考え方がありますが、身体全体を見るだけでなく、精神、魂にまで踏み込んで考えるのがアントロポゾフィー医学だそうです。うーん、興味深いです。が、その内容はとても難解、私の理解の及ぶところではありません・・。


さて、今回は建築と健康に関する内容ということで、ストレスと発病の関係について、健康生成論の視点からの考察です。

健康生成論について。
桝本 妙子. 「健康」概念に関する一考察. 立命館産業社会論集
ユダヤ系アメリカ人の健康社会学者アーロン・アントノフスキー(Aaron Antonovsky)が提唱した理論。健康生成論では、従来の医学が取ってきた、病気の原因となるもの(=リスクファクター(喫煙、飲酒、肥満など))を解明しそれを取り除くという考え方とは逆に、健康になるための要因(=サリュタリーファクター(適度な運動、良好な人間関係など))を解明し、それを強化するという立場を取る。

健康になるための要因を探るためホロコーストで生き残った人を調査すると、身体的に丈夫という条件だけではなく、自己責任性や、前向きな考え方、という要素を持った人が多かったそうです。

様々なストレス(内的要因、外的要因)で人は病気になり、さらに死に至りますが、ストレスを乗り越えるためには自分の健康について、自己で責任を取る、というスタンスが大切だそうです。この自律性保持のために必要なのは、自然治癒力を引き出す思考、行為や環境要因と浦尾先生はおっしゃっていました。


周囲の環境(自然、色、音、空間など)が人の精神に働きかけ、それが無意識レベルで自律神経や内分泌系、免疫系にも影響を及ぼす、ということは実際に起こっている現象だと思います。さらに、環境が自律性保持にも有効に働くのはどういう場合か、自分なりに考えてみました。

例えば、老人介護施設などで清潔に整えられ、何のストレスもない暮らしが出来たとしても、料理も掃除も自分でやる必要がないとしたらどうだろうか、と考えると、無理のない範囲で自分で生活をコントロールできることは自律性保持のためにも有効かと思います。

使いやすい生活動線を考えること、動きやすい空間にすることなど、設計の上では基本的なことですがとても大事なことだと改めて感じます。健康な人にとっては当たり前のことでも、年老いたり病気になった時にも自分の身の回りのことが自分で出来るような生活を考えられているか、課題としていきたいと思います。



健康生成論について調べていたときに見つけたためになるサイト。

Health Literacy 健康を決める力
http://www.healthliteracy.jp/

健康についての情報、どのメディアにもあふれています。よりよい意思決定のための情報活用力、ヘルスリテラシーについての詳細が載っています。理屈っぽいのが好きな方にも!

by atelier-tsubaki | 2012-12-06 23:18 | +バウビオロギー

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