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木と語る│京都庭師のことば

木と語る  佐野 藤右衛門著  小学館 

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図書館で偶然に出合った本です。

天保3年創業・京都・「植藤造園」16代目の著者が庭づくりの極意を伝授、という雑誌連載企画をまとめた一冊。庭の写真が見たくて手に取った本ですが、著者の語り口が小気味良く、爽快感があります。


例えば”土を知る”という章では、
 庭をつくるには、いろんな要素があるんやけどなぁ、まず庭の土をよく知ることや。そりゃあ、当たり前のことやと思うやろ。けど、自分の感覚を駆使して、そしてそれを信じて、土をしろうとする人は少ないんと違うか。

 どんなふうに土を知ればええんかって?
 本当はな、自分の家の庭土も地球規模で考えな。億年単位のことやから、ひと口に知ろうちゅうてもむずかしいけどな。

 たかだか何十年生きている人間が、その土を管理しようと思うたらあかん。管理やのうて、「守(もり)」やねん。子守と同じ。赤子をよう見ていなくては、子守はできひんな。土も、子守をするように接するのがええんや。


一言一言おもしろく、ためになります。管理という言葉は深く考えずに使っていることがありますが、自然を相手にするときにはふさわしくない言葉だなぁ、と感じました。


著者は専門の庭師に頼ることなく、素人でも庭を自分の手でつくることで、人間本来の感覚を呼びさますことができる。自然というものを感じられるようになるし、第一につくっていく過程を楽しめる、とも書いています。


他にも庭を作ろうと思うのなら山を歩いたらいい、とマニュアルに頼らず自分の感覚を大切にすることを何度も説いています。また、庭にも奥ゆかしさが大事、「遊び心」は持ち主の心、など日ごろの心の持ち方にも通じます。


庭づくりだけでなく、自然との接し方、人間の心のあり方について考えさせられた良書でした。

by atelier-tsubaki | 2013-02-07 23:34 | 建物の性能・エコ・環境

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