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木造住宅の性能向上リフォーム 事例その1│断熱性、耐震性をアップする 

古民家や古い木造住宅にお住まいでしたら感じていると思いますが、新築住宅と比べて「断熱性」、「耐震性」という【基本性能】が圧倒的に劣ります。

もちろん、基本性能が劣っていてもそれでその建物に価値がないという訳ではありません。
確かな大工技術で作られた、家の骨格ともいうべき木組みの美しさや立派な木材の表情、家族や先祖代々の思い出などは新築ではとうてい得られないもので、付加価値として基本性能の低さを補って余りあるものです。

実際に自分も古民家や蔵の再生に携わる中で昔の建物のしっかりとした作り方を知るにつれ、現代の2,3か月で建ってしまうカラフルな住宅が数十年後にこれだけの価値を持つのか、疑問を感じています。

しかし、やはり【基本性能】の部分で劣るということは住みにくさにつながります。

この3月に竣工したリノベーション工事では、年齢を重ねていく今後のことを見据え、築50年の古民家ながら「断熱性」、「耐震性」を新築並みの性能まで引き上げました。

性能向上に関する工事の模様をまとめました。


1、使っていない2階を撤去して平屋に改修/屋根材を瓦から金属板に変更
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2階部分を撤去すると重量が軽くなり、地震の時に下の階に2階が落ちてくるような心配もなくなります。

2階部分は屋根、壁を壊して骨組みだけにした後に、2階の柱を撤去しました。

加えて屋根瓦も撤去しています。

昔の瓦は重いですが、加えて土で葺かれているのでかなり重量があります。

今回は瓦を金属板に吹き替えましたが、現在の瓦は瓦自体の軽量化と土を使わない葺き方に変わっいるため、現在の瓦に葺き替えるだけでもかなりの効果があります。

この状態で耐震診断をすると、基礎補強などをしなくても【倒壊しない】レベルまで耐震性を引き上げることができています。

2、柱や梁を追加して補強する 耐力壁になる部分では金物で補強して耐震性を高める
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古い軸組を活かしつつも、足りない個所や痛んでいるところは新しい材料に変えていきます。

こちらの場合お風呂周り以外はシロアリの被害などなかったため、古い柱はほとんど使えました。

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耐力壁になる部分の柱には、補強のための金物をつけていきます。

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外周部は構造用合板(ノダ ハイベストウッド)を張り、耐力壁としています。

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内部間仕切りにも場所により、筋交いや構造用合板で補強しました。

今回は熊本震災の被害の様子もふまえお施主さんと話し合った結果、建築基準法ぎりぎりよりも高いレベルの耐震性能を設定しました。


3、断熱材
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壁は土壁の状態で断熱材は当然入っていません。壁下地と補強を兼ねた面材の上から断熱材を張っています(外張り断熱)。
土壁も隙間が空いていたりで気密性が低かったこともあり、通気を妨げないウッドファイバーを使用しています。


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床や天井にも隙間なく断熱材を入れていきます。

4、窓やドアの断熱化

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気密性の低かった木製の窓やアルミサッシはペアガラスのアルミサッシに入れ替えました。

縁側の木製サッシと組子欄間は残したかったので、やはりアルミサッシの内窓を入れています(リクシル インプラス)。

欄間部分の隙間風が気密性の高い内窓のお蔭で改善されています。


改修後
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>段差を解消してフラットになった和室、リビング、多目的室(寝室)。建具を開ければ一体空間となります。

和室とリビングの境の欄間は冷暖房の効率を考えてアクリル板で塞でいます。

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耐震壁とそうでない壁を区別することで、必要のない壁を取り払い明るくなったダイニングキッチンーリビング。


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玄関は土間床の部分など断熱が十分にできなかったので、玄関と部屋の境はすこしでも断熱効果があるように

ポリカーボネート板を入れた断熱建具としています。

その2に続きます。



by atelier-tsubaki | 2017-04-12 16:03 | 建物の性能・エコ・環境

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