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木造住宅の性能向上リフォーム 事例その2│暮らしやすさを追求する「バリアフリーリフォーム」

前回に引き続き、中古住宅の【基本性能】を向上させるリフォーム工事について、事例の紹介です。

古い家の場合、「断熱性」、「耐震性」に加えて今後の生活を見据えた「バリアフリー化」も大きな課題となっています。

事例では段差解消やトイレのバリアフリー化の他、身体が不自由になってきても負担の少ない間取りについても考えていきたいと思います。

1、段差解消

まず、昭和以前に作られた木造住宅ほとんどに言えることですが、畳の部屋と廊下や縁側の間には敷居分の段差があります。
高さ3cm前後の一番危ないといわれる段差です。

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敷居を取る、床をかさ上げするなどして段差解消していきます。
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この場合は縁側の板に床材を重ね張りして部屋と高さを合わせています。

もうひとつは増改築で作られた大きな段差があります。
よく古い旅館などにありがちですが、建物や渡り廊下の増築を重ねた結果、大小の段差が各所にちりばめられていることがあります。

先ほどのような3cm~5cmの段差は危険を伴うので、バリアフリー化の場合はフラットにしていきますが、
段差が大きく解消するのが難しい場合、他の場所から回れる部屋など優先順位が低い場合などは段差が残ってしまいます。

その場合も手摺をつけたり、段をゆるやかにして上りやすくしたり、少し手を入れると日常の使い勝手が良くなります。

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段差の大きかった玄関に2段の階段をつくり、上りやすくしました。

2、手摺/取っ手
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横手摺、縦手摺、L字の手摺など場所ごとに使い分けますが、部屋のインテリアになじむ素材で制作するとスッキリと見えます。


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断熱性や気密性が年々向上しているアルミサッシは、ガラスの重さに加え気密を取っているせいで開け閉めに少し力が要ります。

引違窓用の大型取っ手は手の不自由な方や力の弱ってきた方にお勧めしています。開け閉めが格段に楽になりデザイン的にも邪魔になりませんので、標準仕様としてつけておいてよい部品だと感じています。

3、廊下を広くとる/廊下に機能をもたせる
家の中に廊下がある場合、壁の内側か内側まで80cm程度の、暗く狭い廊下が一般的です。


将来的な車椅子の使用など考えると拡げておきたいところですが、間取りの関係で拡げられない場合もあります。

この事例では洗面所のドアの前を大型のクローゼットにし、扉をつけないことで車椅子の動くスペースを確保しています。

洋服がかかっている場合でもオープン収納なら両側が壁の場合よりも空間を有効に利用できます。

また、突き当りを壁にしないで窓やガラスにすると、明るく、広く感じます。

4、トイレ、洗面所

こちらの事例では同じ階にトイレがもう一つあったので、トイレと洗面所を一部屋にまとめました。
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トイレを単独にする場合は、横からの介助が可能なように横幅を広くレイアウトしています。
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5、照明
照明でどの部屋も均一に明るくしていたのは昔の話で、住宅でも間接照明や部分照明でメリハリを持たせると美しいライティングになります・・

といっても、年齢を重ねていくと手元が暗いことが結構なストレスになります。

リフォーム工事では照明器具も一新することが多いのですが、

新聞や本を読む場所、食事をする場所、寝る場所、それぞれ違う明るさが必要となります。

明るさが何段階かに変えられる調光式の照明など取り入れて、シーンごとに必要な明るが確保出来るように心がけています。

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6、デッキ/スロープ

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こちらの事例では玄関にスロープを作るスペースがなかったので、多目的室とつながるデッキからスロープを作っています。

広めのデッキは玄関がわりになる他、洗濯物を干すこともできます。

身体が不自由な場合でも、そうでない場合でも、家事が楽な家は喜ばれます。


まとめ

一口にリノベーション、バリアフリーといっても、お住まいの方にとっては生活を快適にすることが目的です。

公共施設や病院のように無機質な空間にならないよう、さりげないデザインで生活をサポートしていきたいと思います。



前回の記事はこちら



by atelier-tsubaki | 2017-04-13 14:05 | 建物の性能・エコ・環境

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